「言えない折り合い弁当の日のこと」
夫婦での時間の使い方の配分が理不尽な気がして、馬鹿らしい気持ちが湧く時がある。明日の遠足のお弁当の中身を考えながら思った。
何にも相談してないけれど、お弁当を作るのは初めから私と決まっているのはなぜ?
今までそんなこと思ったこともなかったけれど、ちょっと疲れていたせいか、明日は父ちゃん弁当でも良くない?
と考えて、さすがに急すぎるから本気で提案するのはやめた。
だけどやっぱり気持ちは静まらないから、明日のお弁当はちゃんと作らないことに決めた。
自分の勝手なこだわりで、冷食は使わない、お惣菜に頼らない、と決めていたけれど、もう明日はスーパーのおかずを詰めちゃおう。
ハンバーグはこねない。ブロッコリーも茹でない。
私の些細な苛立ちに、とばっちりを受ける娘には申し訳ないと思うけど、前回も残してきたし、前々回も残してきたし。
むしろお惣菜の方が美味しいのかも、と申し訳なさ自体に開き直った。
お惣菜のハンバーグは売っておらず、唐揚げ、きんぴら、煮豆を買って、残り物のハヤシソースをかけたパスタ、かぼちゃ、ウィンナーを焼くだけ、作り置きのきゅうり漬け、プチトマト、ぶどうを詰めるだけ。
(少量のパスタを茹でたのが悔しい気がしてくる笑)
あっという間に出来上がって、見た目もばっちり。
いつもとはちょっと違う、完成時の満足感。笑
さらに私がお弁当を作っている風だったからか、何も言わなかったのにリュックや着替えの用意はぜーんぶ父ちゃんがやってくれ、思った何倍も楽な遠足の朝になった。
用意されているお弁当を見てから、家を出発するまでずーっとお弁当のことを気にし、食べるのを心待ちにしている様子の娘には、少し後ろめたい気分になったけれど、今日はこれで良し、とした。
頑張らなくて済んだことで、当てどころのないイライラも大きくならずに消えたから。
(帰ってきて、結局完食じゃなかったと知って、また少しホッとした。)
手抜き弁当、じゃなくて、折り合い弁当。
未熟者の私には、これからも頼るべき存在だと思った日のこと。
—————— 数日後、この話に続きができた ——————
遠足から1週間後、園の懇親会があった。
先生から食の大切さに絡めて、お弁当の話が出た。
「このクラスのお母さんたちのお弁当は、みーんな手作りで、美味しそうで、本当にすごいです!私、驚きました!」
気まず過ぎて、思わず笑った。
どうかどうか先生がうちのお弁当を見ていませんように(笑)
(先生のお褒めの言葉のおかげで、私のプチイライラは、完全に昇華されていったのでした笑)